大規模言語モデルAIによる新たな漫才!?


機械学習が得意とするタスクの⼀つである⾃然⾔語処理において活躍するモデルである。2017年にGoogleが発表したTransformerというモデルがベースとなったものが主流である。ChatGPTもTransformerを⽤いている。
⼤規模⾔語モデルの⼤きな特徴は⽂脈を理解できるところにあり、⽂章の要約などのタスクを⾏うことができる。
→ということは「ボケに対していい感じにツッコミを⼊れる」というタスクを実⾏可能なのでは?

本実験プロジェクトでは、実験立ち上げ当初、実験のマイルストーンとして2024年のM-1出場を目指していた。
現在は、Youtubeに動画アップを目指している。目指せ100万回再生!!そして、今年のM-1出場も頑張ります!!

本プロジェクトの骨子。
フェーズ1では、基礎知識の学習
フェーズ2では、ツッコミAIの作成
フェーズ3では、ボケAIの作成
3つのフェーズを経て、AI漫才コンビを完成させます。
▼完了までのステップ
①アイデアの発案
ChatGPTの登場により、言語モデルAIの性能に興味を持ち「これで何か面白いことができないか」と考えたのがすべてのはじまり。面白い=漫才という安直な発想から、「AIに漫才をさせてみたい!」という奇抜なアイディアに行きついた。ただ、既存のAIをそのまま使うのではなく、自分で“面白い”を定義し、好みに合った漫才AIをつくるという野望が芽生えました。
②Idea Stoa Explorationへの参加
Idea Stoaの施設紹介のイベントにふらっと参加。実験の紹介があった際、「自分の“AI漫才”も実験としてやってみたら面白いかも」と思い立ち、プロジェクトに参加することになりました。自分の中でくすぶっていた“お笑い×AI”というテーマに本気で向き合うきっかけとなりました。

③芸人×工学助教×学生
プロジェクトへの参加後、現役のお笑い芸人と名古屋大学工学部の助教がサポートメンバーとして加わり、本格的なネタ作りがスタート。初期のプロトタイプとして、「新札をアーティストと勘違いするボケ」のAI漫才を作成・披露。ネタのアイデアはみんなで話し合いしながら構築し、笑いの生まれ方を検証していきました。このプロセスを通して、AIを活用した笑いの可能性と難しさを実感。

④発想の転換「“ずらし”の発見」
現実の人物や紙幣といった題材の扱いが難しいと判明したことから、画像生成AIとの連携は一度断念。しかしここで発想の転換。たどり着いたのは、「ずらし」を核にした漫才ネタ。ボケが「猫」などのテーマを提示し、ツッコミが正しく説明しているようで、ちょっとずれた画像を生成AIに出させる。言葉では説明がつくが、視覚情報では明らかに違う。この“矛盾してないのにズレている”感覚が笑いを生むのでは、という仮説のもとネタを構築していきました。

⑤ネタ収集とデータセット
この構造を支えるのが、AIに生成させる“微妙にずれた画像”のデータセット。たとえば「猫」と言ったときに、似て非なる動物の画像を出すパターンや、同音異義語・連想ゲーム的な発想をベースにした単語と画像の組み合わせを収集していきました。こうした「笑いを誘発するズレのパターン」を体系化することで、AIが“狙って外す”能力を持つことができるのではと期待しています。

⑥Idea Stoa Festivalでの成果報告
この取り組みの成果は、Idea Stoa Festivalでも報告されました。Idea Stoaで活動するすべてのプロジェクトが集まるこのイベントでは、AIを使った漫才というユニークな挑戦として注目を集め、参加者同士の活発な意見交換にもつながりました。
AIの可能性と人間の創造力が交わるこの実験は、今後もさまざまな形で発展する余地があり、また新たな笑いのかたちを探る出発点となりました。

最終的には、このデータセットを活用してAIと人間が共演する「AI漫才」のプロトタイプを完成させました。AIが“笑いを学ぶ”可能性はまだまだ未知数で、発想次第で広がっていく余地があると考えます。AIと人の創造力が交差する漫才という実験は、またいつか別の形で舞台に立つかもしれない!
メンバー
目黒瑛暉
名古屋大学理学研究科M1

石田崇人
名古屋大学高等研究院特任助教

ほほえみいおり
芸人
