不完全さがつなぐ、AIコミュニケーションロボットの実験!
「AIが人と人をつなぐ存在になれるのか?」
実験オーナーの野崎さんは、高等専門学校でロボット工学やプログラミングの知識・スキルを学びながら「人と人の距離を縮めるロボットってつくれないだろうか」という思いを抱いてきました。
現在の技術では、AIが人間と完璧な音声会話を行うことは難しいのではないかと考えます。
それはAIの性能だけの問題ではなく、人間どうしの非言語的なコミュニケーションー声のトーンや間、表情、視線、空気感などがまだAIには再現しきれないからではないか。
だからこそこの実験では、完璧な会話を成立させるのではなく、「会話を生み出す場」をAIがつくることができるかどうかを検証したいと思ったことがきっかけになります。
目指しているのは、会話を“代わりにする”AIではなく、会話が“生まれるきっかけをつくる”AIロボットを制作すること。
たとえば、少し噛み合わない返答や、唐突な一言があることで周囲の人がクスッと笑ったり、思わずツッコんだり、会話が自然に生まれたりするのではないか。
そんな不完全だからこそ生まれるコミュニケーションにこそ、可能性があると考えています。
コワーキングスペースでの活用を想定し、AIロボットのプロトタイプを開発します。
STEP1:プロトタイプの設計・製作
まずはロボット側から積極的に話しかける仕掛けを通して、人がどのように反応するのかを検証し、「人に使ってもらえる存在」かどうかの初期評価を行います。
STEP2:実証実験の実施
Idea Stoa内に設置し、ユーザーとの自然な関わりを観察します。会話が生まれたタイミングや背景を記録・分析し、「会話のきっかけ」となる要因を探ることで、よりよい関係性のデザインを検討します。
STEP3:改善と再実証
利用者の声から改善点の洗い出し、人と人の関係深化におけるAIの可能性を再検討を繰り返し、AIロボットを完成させます!
第1弾!プロトタイプで実験
2025/05
第1弾、プロトタイプの展示を行いました。Idea Stoaの一角に”ふたりん”とその使用方法を提示し、他のIdeaStoa利用者からフィードバックをもらいました。活用方法やAIの精度など様々な改善点が見つかりました。
5月のキックオフミーティングでは特に“応答速度の向上”に焦点を当て、改善することになりました。またこの実験のメンバー募集を行いつつ、応答速度の向上を目指して開発を行っていきます。

Idea Stoa Festivalの登壇!
2025/09
9月に開催されたIdea Stoa Festivalで、これまでの実験の紹介と進捗報告を行いました。
自身の活動を来場者の前で発表し、ブースにも多くの人が訪れてくれて、さまざまな質問や意見をもらいました。
次のステップとしては、ロボットが自ら積極的に話しかける仕掛けを実装する予定でしたが、
野崎さんの他事業が新たに展開していくこととなり、この実験は一区切りとしてクロージングを迎えました。


▼ Idea Stoa Festivalの登壇資料









現代社会では、孤独や疎外感がさまざまな問題の背景にあるとも言われています。
そんななかで、人と人が出会い、言葉を交わす小さな場を生み出すことが、
孤立をほぐすきっかけになるのではないか。
そうした思いから、野崎さんの実験は始まりました。
これまで、人とのつながりをテーマに実験を重ねてきました。
自身の経験からも、「知らない人と自然に“会って話せる”環境が、どれだけ心を支えてくれるか」ということを感じています。この取り組みを通して、
「人と会って話す」ことの力を改めて感じるとともに、
人との関わりをもう一度見つめ直す、小さなきっかけになっています。
メンバー
野崎春太郎
名古屋大学 情報学部

